御母衣湖から世界遺産の白河郷や五箇山の合掌集落を経由しての帰路の途へと向かった途中、450年余を生きる2本の老桜物語の感動に出会う。 荘川桜である。

 昭和27年成立の電源開発促進法により、翌28年御母衣ダム建設計画からドラマが生まれた。村民に親しまれていた光輪寺と照蓮寺にある樹高約20m幹周約6m樹齢約400年余の老桜2本がダムの湖底に沈もうとしていた。住民174世帯の反対を真摯に説得し、6年を掛け工事着手に導いた初代電発総裁の高橋達之助の熱き思いがそこにあった。

重量約40tを高低差50mも引き上げる為、600mの斜路を建設し運搬する事となった。しかし、それを吊れる機械や運搬するトレーラ-も無く、枝を降し100mもあった根も切断した。丸裸にして鋼鉄の特製ソリに載せ、ブルトーザー3台でようやく引き上げた。桜博士の笹部新太郎や庭正造園の丹波政光による研究と技術の研鑽が大移植工事に挑戦させ、その思いに共鳴した多くの人達の協力によって、先人の常識を打ち破り昭和35年12月24日遂に2本の老桜移植を完成させた。
その後45年、まるで古くからそこに生えていたかのような勇姿で素晴らしい。
.荘川桜万歳! 
                                     その4 おわり (吉野 記)

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